「あ~れ?風真ぁ私のパニョ君、知らない?」
いつものようにくだらない質問をしてくる彼
パニョ君とは…
この馬鹿が溺愛してるぬいぐるみのこと
中年になってぬいぐるみが好きだとは…少々哀れみを感じる
「あ?そこらへんにいるだろ」
僕は読書をしていたので、適当に返事をした
まぁ読書をしてなくても適当な返事しかしないが…
「風真ぁ…パニョ君いないよぅ(涙)」
泣くなよ…
あ~っもうっ欝陶しい…
一応、僕よりも年上、りっぱな大人だろ!
ガキでもあるまい…
「あのクマなら歩いてどっか散歩でもしてんだろ」
あのぬいぐるみ…どんな構造しているのか知らんが…
動いてるんだよな…
聖明が作ったって言うから変に納得してしまう
まぁ飼い主に似て、そこらへん歩き回っても可笑しくはないだろ
奴も気付いたら、そこら辺でナンパしてるしな
「パニョ君カムバァ~ク!」
って!
話を振っといて無視かよっ
「人の話聞けよ(怒)」
何でこんな訳のわからんヤブ医者と共に行動してるんだろう…
黙ってれば十分まともなんだけどな…
「風真!これは大事件だ!パニョ君が誘拐された!」
「はぁ?っておい!どこ連れて行くつもりだ!?」
僕は読書中なんだって!引っ張るなよ(怒)
何でいつもいつも突拍子のない行動を…
「何を言ってるのだね?今から事件解決しに行くのだよ」
うわ…最高に良い笑顔してるよ…勘弁してくれ…
「……一人で遊んでてくれ…」
「遊びじゃないもん!真剣だもん!」
真剣だとわかってるから余計嫌なんだっ
「余計たち悪いわ!!」
「いや~ん♪ゲフっ」
思わず殴り飛ばしてしまった…
まぁ欝陶しいコイツが悪い
「一度死んでこいっ」
「はぃ…」
これで暫らくはおとなしくなるだろう
お疲れ自分
………ん?
外でユラユラ揺れてる茶色い物体は…
「あ~…おい…聖明」
「ぅ~…なんだい?風真ぁ…」
「あの外にぶら下がってるのって…クマじゃないか…?」
「「………。」」
「そういえば…洗濯して干してたんだっけ…えへ」
「っ(怒)」
本気で一緒に旅するのをやめようかと最近考え中です…
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携帯版HPより移植作品
2005 携帯小説にて更新
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